第196章 心が揺らぐか?

横尾家は、正直もうこの嫁を抱えていたくなかった。

医薬商会のパーティーで起きた一件を、横尾浅子が最初から知っていたわけではない。

そもそも横尾家は医薬分野の商いとは縁が薄い。横尾孝人が中島美奈を連れて医薬商会のパーティーに顔を出すなど、浅子にとっては想像の外だった。

その朝、浅子にはお茶会の予定があった。社交界の恒例行事で、こうした集まりは毎月のように開かれる。

浅子は早々に身支度を整え、家を出た。

これまでは「横尾家の奥さま」という看板だけで、どこへ行っても媚びるような笑顔が寄ってきた。ところが今日に限って、会場に足を踏み入れた瞬間――視線が、妙だった。

羨望でも、取り入りでも...

ログインして続きを読む